Krishnamurti Subtitles home


RV80DS3 - 未来について考えることが、恐れを引き起こす。
学生たちとの議論、第3回
インド、リシ・ヴァレー
1980年12月15日



0:18 クリシュナムルティ: 遅れたのなら、すみません。 私の時計が、正確でなかったんです。 で、私たちは、何について話しましょうか。
0:42 学生: 前回の話を、継続できますか。
0:49 K: 私たちは何について、話しましたか。 私は、忘れてしまいました。
0:52 学生: ロボットについて、です。
0:55 ナラヤン: ロボット。

学生: 比較。
0:59 K: 私たちは、それよりはるかに多くについて、話しました。
1:02 学生: あなたが、「機械的でない学び方が、ありますか」と仰った時点で、 私たちは止めました。
1:08 N: 機械的でない学び方が、ありますか。
1:17 K: 君たちはそれに、興味がありますか。 

学生たち: はい。
1:23 K: 君たちではなく、年上の人々が、です。 なぜなら、君たちは、何にでも同意するだろうからです。そうでしょう。ええ。 君はこれに、興味がありますか。

学生たち: はい。
1:40 K: 君は本当に、学び方を見出したい、ということです - 私たちが先日、指摘したように、書物をとおした学び、 他の人々が言うことをとおした学び 自分の経験をとおした学びではない、学び方を、です。 私たちがそれについて話をしたのを、憶えていますか。 私が君たちに語ったように、 コンピューターがいかに、チェスの名人と試合するか、です。 チェスの名人とは何かを、知っていますか。

学生たち: はい。
2:25 K: 君たちは本当に、チェスの名人が何かを知っていますか。はい? おやまあ。 チェスの名人は、コンピューターを打ち負かします - 一回目、二回目、三回目は。 ですが、四回目、コンピューターは、チェスの名人を、打ち負かします。 なぜなら、コンピューターは、毎回、打ち負かされるごとに、 自分がどこで間違いをしたのかを、学んでいて、経験しているからです。 それで、敗北ごとの後、それは学んでいます。 で、四回目、コンピューターはチェスの名人を、打ち負かします。 私が言いましたように、それが、私たち人間の精神が働くさまです。 初めに、私たちは経験します。 そのとき、その経験から学び、知識を蓄積します。 そのとき、その知識は、頭脳に記憶として蓄えられます。 その記憶から、考えることが、生じます。ですね? これが、私たちが話をしたことでした。 君はこれまで、私が言ってきたことを、理解しますか。 君はすっかり確かですか。

学生: はい。
4:05 K: すなわち、 私たちは、知識を蓄積します - 生において行為するため、 職を持つため、何をするためにも、 私たちは、知識を持たなければなりません。 私たちは、このように行為するように、 条件づけられているか、プログラムされています - 知識を蓄積し、行為する。 ですね? これが、君が自分の人生でしようとしていることです。 君はここで、教育されつつあります - 数学、地理、歴史、物理など、 君は、大変多く学んでいるでしょう。 専門校へ、運が良いなら、大学へ行き、 学位を取り、職に就く - 君は運が良いなら、です。 で、君が教育されてきたことは、 自分の精神を、知識の中に条件づけることです。ですね? 君の知識は、数学か、 物理か、生物などです。 それは明らかでしょう。 いいですか? で、私たちは、慣習としているし、 私たちは、訓練されてきました - 経験をとおして学び、 知識を蓄積し、行為するように、です。 これが、君が今、していることです。 君の日常の学習で、これが、君がしていることです。 精神が、君の精神が、知識を蓄積してきて、 いつも、知識の区域の中で行為しているとき、 何が起きるのか、分かりますね。 それを理解しましたか。 いいですか? 理解しましたか。 はい? いつも、知られたものの平野で、行為しています。 明らかですか。 よろしいでしょうか。 大工は、初め、大工の親方の見習いをします。 彼は、幾年も学びます。 それから、良い大工になります。 君は、医師になろうとしているなら、 学習するのに、十年を使います。 それから君は、良い医師になります。 すなわち、君は、学び、知識を蓄積し、行為します。 で、君はいつも、知識の平野の中で、行為しています。ですね? この点は分かりますか。 これは、明らかですか。 君は何と言いますか。 これは明らかですか。 で、君の精神は、いつも反復し、反復し、機械的になる。 で、私たちは先日、訊ねていました - 別の学び方が、あるのかどうか、です。 君は、問いを理解しましたか。 別の学び方が、ありますか - 知識を集積し、それから行為するこの過程全体を 経ていくことなしに、です。 いいですか? 質問を理解しましたか。 はい? 月曜日の朝の気持ちですか。 さて、私が言おうとしていることは、難しいかもしれません。 で、私が言っていることに、少し注意を注いでください。 私たちは、機械的でなく、反復的でない 学び方があると、言っています。 私は車を運転するとき、車の操縦についてすべて学ばなければなりません。 それに、私は三週間が掛かるかもしれませんが、それら三週間の間に、 車の中で、隣に指導員が付いていて、 彼は私に、何をすべきかを、教えてくれます。 彼は私に、道路を、300ヤード先を、見るよう、 ぐるりとまわりで起きていることを、見守るよう、教えてくれます - どこに脇道があり、車が来ているかを、です。 脇道から、すばやく車が来ているなら、 私は、スピードを落とさなくてはいけません。 彼は私に、これらを教えてくれます。 それで、私の頭脳は、運転に慣れるのです。ですね? 君はそれを、理解しましたか。 すなわち、常なる反復をとおして、私は学びます。 それは、頭脳に埋め込まれています。 そのとき頭脳は、記憶として行為します。 そのとき、思考、行為です。 今、私は君に、違った学び方を、示そうとしています。 君は、飛んでいる鳥を、観察したことが、ありますか。 ありますか。 ありますか。 君が観察するとき、鳥を見るとき、 何が起きますか。 君が見守っているとき、何が起きますか。 私に言ってください。
11:16 学生: 鳥は、自分の注意すべてを、捉えます。 他の何についても、考えません。
11:22 K: 君は、鳥を見守っています。 ですね? 君たちは、これに興味がありますか。 彼らは、能力がありますか。

N: 彼らの幾人は、あります。
11:42 K: さて、私は、そこを通らないでしょう。 私は君に、他の何かを、示しましょう。
11:46 私たちは、今すぐ、それに来るでしょう。 君は、恐れていますか。 答えてください。どうぞ、私に答えてくれるでしょうか。
11:58 学生たち: はい。
12:01 K: 君は恐れています。 何について、ですか。
12:04 学生: 未来について、です。
12:08 K: それがすべてですか。 君は、教師を恐れていますか。
12:10 N: 未来、です。 彼は、未来を恐れています。
12:13 K: ああ、未来ね。 教師は、君の未来ですか。
12:19 学生: 或る面で。
12:23 K: 冗談が、お分かりですか。 いえ、君は、それが分かりません。 君は、未来を恐れています。 起きるかもしれないこと - 君は職を得るだろうかどうか、 君は試験に通るだろうかどうか、 君は、通らないなら、 親に叱られるだろうかどうか、などなどです。 それは、どういう意味ですか。 考えぬいてください。 私たちが先日、二つの講話で指摘したように、 ともに考えましょう。 私に、君たちへ語らせて、それから、君が受け入れたり、拒絶したりしないで、 それについて、対話を行いましょう。 それについて、話しましょう。 そうしましょう。 君は、未来を恐れています。 なぜですか。
13:22 学生: なぜなら、僕は、自分に何が求められるかを、知らないからです。 僕は、何が自分を待ち構えているかを、知りません。
13:29 K: 何が君へ起きるだろうか - そういうことですか。
13:32 N: 彼は、何が自分を待ち構えているかを、知りません。
13:34 K: そうなんです。 何が君を待ち構えているか、です。
13:38 学生: はい。
13:39 K: 君は未来に、どうなってほしいと思いますか。
13:45 学生: 安全なものです。
13:48 K: 安全。ですね? 君は、その安全を保証されているなら、怯えるのでしょうか。
14:00 学生: そう思いません。
14:02 K: で、誰が、それを保証するのでしょうか。政府ですか。
14:06 学生: いいえ、僕自身がそれを、しなくてはいけません。
14:08 K: で、君はどのように、自分自身のために未来を保証するのでしょうか。 進んで、質問に答えてください。 どのように、ですか。
14:22 学生: 私は、もしも未来が、自分にとって保証されていたなら、 安全に感じるだろうとか、全的に恐れないだろうとかに、同意しません。 なぜなら、他の恐れがあるからです- 未来の恐れだけではない。
14:36 K: それが、彼が言ったことです - 未来です。 で、君が怯えている、他の物事が、ありますね。 で、彼は、未来を恐れていますね。 君は、何を恐れていますか。
14:50 学生: 私は、自分が(世の中へ)出て行くとき、 溝に沈み込むこと、轍に填まってしまうことを、恐れています - 他のあらゆる物事の部分になり、 それについて、何をもしようとしないことを、です。
15:04 K: そうです。で、君は、轍に捕らわれることを、恐れています。 すなわち、社会構造に、です- 結婚、家族 けんか、悲惨、それらです。 それが、君が恐れていることですか。

学生: はい。
15:22 K: 他に君が恐れていることを、教えてください。 みんな、そこに座っていないで、私に言ってください。 神様!
15:38 学生: ちょうど今、ここに座って、お話を聞いているとき、 僕は、自分が今、怯えていると思いません。
15:44 K: ええ。もちろんです。
15:46 学生: ですが、ひとたび、僕が、この講堂を歩いて出て、 教室へ入るとき、僕は、終了させるべき仕事を、 幾つか持っていると、思います - 僕はそれを終了させないなら、 他の時限、他の授業に、間に合わないでしょう。 僕は、自分がその仕事を終了させないなら、 他の授業に出席できないかもしれないと、怯えています。 で、それは一種の恐れですが、それは現在、ありません。
16:07 K: ええ、もちろんです。 それは同じことです。 すなわち、君は、未来を恐れています。
16:12 学生: 僕は今、恐れていません。
16:14 K: もちろんです。 お兄さん、当然です。 君は、そこに座っています。 おそらく退屈し、おそらく興味を持って、ですが、 君は当然ながら、今、恐れていません。 ですが、君は授業に行くとき、後のことを恐れています。ですね?
16:41 学生: 僕たちが今、話していることが、 別のプログラムになっていかないことは、どうすれば、分かるのですか。
16:50 K: 彼は訊ねます - あなたが話していること、 それもまた、精神を条件づけませんか。ですね?
16:57 学生: 私たちはどうすれば、そうでないと分かりますか。
16:59 K: 私は君に、示そうとしています。 初めに、私たちは究明しつつあります。いいですね? 君は、「究明」という言葉がどういう意味かを、知っていますか。 探り出すこと。 一つのことを、まさに最後まで、追っていくこと。ですね? それが、究明するというのが、意味することです - 探検すること、検討することです。 さて、私たちは、恐れが何であるかを、検討しています。ですね? 君が検討しているとき、精神を条件づけることは、ありません。 君が批判的に問い、 懐疑的に探検しているとき、 精神を条件づけることは、ありません。ですね?
17:52 学生: 分かっていますが、これまで僕たちが学んできたすべては、 プログラムだったし、条件づけだったんです。 で、その問い自体が、そのプログラムの中から、生まれているでしょう。
17:59 K: ええ。ですが、見てください。 私が君に指摘していいなら、君は聞いていません。 私たちは検討していると、私は言いましたね。 検討の中、条件づけはありえません。 いいですか。 それがすべてです。 今、私たちは、恐れを検討しています -私の検討に沿って、ではなく、 ともに、私たちは検討しています。ですね? よろしいですか。 ここまで理解しましたか。 よろしいです。
18:41 学生: すみません。でも、なぜ、検討する中に、条件づけがないのですか。
18:46 K: 何ですか。
18:47 学生: なぜあなたは、検討するとき、条件づけがないと、仰りましたか。
18:55 K: 君は、受け入れるとき- 理解できますか - 自分の楽しみや痛みに応じて、受け入れます。ですね? 君は、権威を受け入れるか、あるいは、権威を拒絶します。 その拒絶は、特定の立場への 君の以前の固執に、依存します。 - 理解できますか - または、君はそれを拒絶します。 で、君はいつも、自らが生きてきたところの様式に、 条件づけられつつあります。 ですね? 君が生きてきたところの様式が、君の条件づけです。 ですが、君は、その条件づけを検討するなら、 条件づけを解き放ちつつあります。 理解しましたか。 私は、仮に、カトリックとして、条件づけられている、としますね。 君たちは、カトリックが何であるかを、知っていますね。 私は、子ども時代より、カトリックが信ずるような いろいろなことを信ずるよう、条件づけられています。 今、私は、検討し、問い、懐疑的になりはじめるなら、 精神は、条件づけより自由になりつつあります。ですね?
20:26 学生: はい。でも、またもや「私」自体が、条件づけです。
20:29 K: いいえ。検討だけがある。 「私が検討している」はない。
20:37 学生: 僕は、それによく付いていけません。 僕は、コンピューターの例を、示しましょう。 コンピューターが、名人と試合をしている、とします - チェスの試合です。 名人は、何か動きをします。 コンピューターは、その動きを検討しています。 あなたが、ともに、と仰るなら、 その唯一つの動きを検討しているコンピューターが、一万あります。 たぶん僕たちの問いは、ちょうどその動きに、似ています。 僕たちは、その動きを検討している多くのコンピューターです。
21:00 K: いいえ。聞いてください。当分の間、コンピューターを持ち込まないでください。 私たちは、自分たちが恐れに条件づけられている、と言っていますね。 明らかですか。 私たちは、恐れに条件づけられています。それを検討する中で - 検討は、究明すること、見ること、観察すること、問うことを、 意味しています - 受け入れることではない。ですね? そのとき、その条件づけは、露出されますね。 これに付いてきていますか。
21:45 学生: あまり明らかでない。 僕は本当に、あなたが仰る検討が、どういう意味かを、知りません。
21:49 K: 待ってください。 私は、君に示しましょう。 君は、花を見つめますか。
21:55 学生: はい。
21:57 K: 君はそれを検討しますか。 ごく近くで観察しますか - 花びらごとに、その色、がく、香り、 日向と日陰での色の様々を、です。 君は、そのように花を観察したことが、ありますか。
22:18 学生: あんまりないです。

K: ない?君は、ない。ええ。 それが、私がいう検討がどういう意味か、です。 見つめる、嗅ぐ、ごく間近で、細かく詳細に、 花がどのようであるかを、見る。 それが、私がいう検討が、どういう意味か、です。
22:43 学生: 検討と仰るのはまた、 機械的になっていない、という意味ですか。 なぜなら、発見しつつあるから。
22:49 K: そのとおりです。君は、検討しつつある間、発見しつつあります。 分かりましたか。
22:56 学生: はい、いいです。花を見つめるのを、取り上げましょう。 さて、花から僕たちに来るものは、感覚的な印象です。 僕たちは、自分の知識でもって、それを分析します - 香りへ、あれへ、これへ、と。
23:09 K: ああ、いえ、いえ。 それは、検討ではありません。
23:12 学生: ですが、花の香りを嗅げると言うなら・・・
23:15 K: いいえ、聞いてください。 お兄さん。それを見つめてください。 君が花を見つめるとき、何が起きつつありますか。 私に語ってください - 君がかつて、花を見つめたことが、あるなら、です。
23:30 学生: 僕は本当は、そのように見たことが、ありません。
23:33 K: ならば、行って、むこうのあの花を見つめなさい - 今ではない。 君が近くで花を見つめるとき - 私は君に、何かを示しています - これに、付いてきてくださるなら、 君は、機械的でない学び方を、見つけるでしょう。 それが、私が指摘しようとしているすべてです。 花を近くで見てください。 私は好きだとか、好きでないとか、言わないで、 それは美しいとか、そうでないとか、言わないで、ただ見てください。 君が、それを見つめれば見つめるほど、 詳細が大いに露出します。 ですね? これは分かりますか。 これは、理解できますか。
24:43 学生: 大変多くの注意をもって、何かを見つめるとき、 ただそれを見つめます。
24:50 K: それがすべてです。
24:53 学生: ですが、その後、即時に・・・
24:56 K: 待って、待って。 君は、何かを学んだのです。 すなわち、君は、注意深く花を観察しているとき、 その花だけがある。 他に何もない。 それが、私が言っているすべてです。 それは、理解しましたか。
25:16 学生: はい。でも、自分の知識が引き継ぐとき、何が起きますか。
25:20 K: 初めに、知識が引き継ぐ前に、何が起きるかを、見てください。 さて、ちょっと待ってください。 君たちは、連想と呼ばれるゲームをしたことが、ありますか。 ありますか。
25:41 学生: 私たちは、あなたが前回来られたとき、それをやりました。
25:46 K: 私は再び、それをやろうとしています。 さて、ただ聞いてください。 神様!これらの人々は、何一つ、知らない。 それは、連想のゲームと呼ばれます。 私は、「バラ」と述べます - 気をつけて聞いてください - 「バラ」。 そのとき、君がバラについて持つ連想は、何ですか。
26:20 学生: 花。
26:25 K: 花。いいですよ。 進んでください。次は何ですか。
26:29 学生: 花びら。
26:33 K: 花びら。 進んで、動いてください。
26:36 学生: 色。

K: 色。
26:42 学生: 形。
26:49 K: さて、私に聞いてください。 花、とげ、痛み、医者、病院、看護婦。 さて、ちょっと待ってください。 看護婦、病院、痛み、とげ、バラ。 さて、それを見守ってください。 そのようにして、君の思考は動くのです- 一つのことから、別のへです。 これを理解しましたか。

学生: はい。

K: 待って、待って。君は、これを理解しましたか。 いかに思考が、一つのことから別のへ行くのか - それが、連想です。
27:40 学生: で、僕たちは、何かを見つめるとき、このゲームを、いつもやっています - 見るのでなく、いつも連想しています。
27:46 K: そうなんです。分かりましたか。

学生: はい。
27:48 K: さて、待ってください。 バラ - あのバラを、見つめてください。 即時に、「とげ」と言わないでください。 分かりますか。 君たちが、これらを理解するのかどうかと、思われます。 君は、これを理解しましたか。

学生: はい。
28:06 K: いいえ。君が理解したとは、私は思いません。 私が、「バラ」と言うとき、誰かは、「とげ」と言う。 他の誰かは、「痛み」と言う、などです。 さて、「とげ」と言わずに、 花とともに、バラとともにただ留まる。理解できますか。 そのとき、君は、バラを検討しています。 いや、これは、君たちのみんなにとって、あまりに困難です。
28:44 学生: 僕たちは、あまりに条件づけられていて、 僕たちの精神に浮かんでくる初めのことは、 自分が連想で遊んでいる、ということです。
28:50 N: 彼は、連想はとても速く来る、と言います。
28:54 K: それは機械的です。
28:57 学生: はい、もちろんです。

K: よろしいですか。
29:00 君は、機械的な過程を止めるなら、 バラを観察できます。 君たちは、私が話していることを、何か分かっているのかどうか、と思われます。 これがいかに困難なのかが、分かりますか。 君たちは、考えることを学んできていません。 君たちは、記憶することを学んできました。 君たちは、授業の中で、反復することを、学んできました - それは、考えることではありません。 で、私たちはともに、考えるように、互いに助け合っています。 いいですか? それで、私は君に、訊ねます - 君は、何を恐れていますか。 君は、未来、と言いました。 君は今、恐れていませんが、君は、未来を恐れています。 未来とは、何ですか。 すなわち、君は試験に通らないかもしれないこと、 君は、職を得ないかもしれないこと、 君は、親に叱られるかもしれないし、 貧しいままに留まるかもしれないこと、などです。 それが、君が恐れている未来です。 さて、恐れとは、何ですか。 違いを理解できますか。 君は、未来を恐れています。 ですね? 君は、聞いていますか。 それなら、恐れとは、それ自体では、何です。 これは、あまりに困難ですか。
31:04 N: あなたは、恐れはいつも、何かへの関係にあると、仰っていますか。
31:07 K: ええ。 待って。私は彼らに、私とともに議論してほしいのです。
31:14 学生: 恐れは、自分に痛みを引き起こす何かについての思考です。
31:22 K: ごらん。君は、屋根が崩れてくるかもしれないと、恐れていますね。 君は、蛇を恐れています。 それは、君は何かを恐れている、という意味です。 分かりますか。
31:44 学生: まだ自分が出会っていないことを、恐れています。 それは、恐れが、自分がすでに出会った何かである、という意味です。
31:54 N: 分かりません。 君が言っているのは、何ですか。 繰り返してくれるでしょうか。
32:02 学生: 恐れているとき、 それは、まだ自分が出会っていない何かです。 恐れは、何か自分が経験したことが、あるものです。
32:15 学生: 彼女は、こう言うつもりです - 自分は、何かまだ起きていないことを、恐れているが、 恐れはいつの時も、自分の中にある、と。
32:24 K: 理解できます。 君は、恐れがいつも、自分の中にあると、言っていますか。 そういうことですか。
32:33 学生: 自分の中の恐れを、すでに経験しています。
32:41 K: ごらん。 ごく単純にしましょう。 私は、自分の親を恐れています- 私を叱るかもしれない親を、です。 それで通してください。 私は、教師、教育者を、恐れています - 私に何かを言うかもしれない彼を、です。 すなわち、私は、何かについて恐れていますね。 それは分かりますか。 はっきりさせてください。 すなわち、私は未来を恐れています。 私は、親が私に言うかもしれないことを、恐れています。 私は、教師が何かを言うのを、恐れています。ですね? さて、何かについてでなく、恐れがありますか。 これを理解しましたか。 私は、何かについて、何かを、恐れています。 ですが、何かについてとか、未来とかを離れて、恐れがありますか。 これは、あまりに困難です。
33:53 N: いえ。私は、彼らの何人かは、それが分かるだろうと、思います。
33:56 私が何かを、言ってもいいですか。

K: ええ、どうぞ言ってください。
33:59 N: 恐れがあるなら、恐れは、いつも何かに関係しています。 君は、闇を恐れている。 君は、未来を恐れている。 君は、教師を恐れている。 恐れがありますか・・・
34:10 K: ・・・関係していないものが。
34:12 N: ・・・何かに関係していない恐れが。 君は、何かへの関係にない恐れについて、考えられますか。
34:18 学生: いいえ。恐れは、何かに関係しています。
34:21 K: いえ。君は、この問いを理解しましたか
34:30 学生: 問いは、こうです - 僕は、他の何かへの関係にない恐れについて、考えられますか。 さて、僕は、自分は恐れについて考える、と言うとき、 即時に恐れを、何かへ関係づけますが、 僕は、他の何かへ関係していない恐れの 可能性があるとは、考えられません。
34:51 K: ただそれについて、考えぬいてください。 すなわち、私の恐れは、何かへの関係において、ある。ですね? 何かへの関係がないとき、恐れが、ありますか。
35:06 学生: ありません。 何かへの関係なしに、恐れは、ありません。
35:11 N: 彼は、何かへの関係なしに、 恐れはない、と言います。
35:20 K: 来て、座ってください。 それについて、私に語ってください。
35:23 学生: 他の何かへ関係することなしに、恐れはありえません。
35:27 K: 君は、これを知っていますか。
35:30 学生: 僕によれば、そうです。
35:32 K: 君によれば、というのは、どういう意味ですか。
35:35 学生: なぜなら、いつでも僕は恐れを持ったとき、 それはいつも、何かのせいであるからです。 その裏には、いつも理由があります。
35:41 K: そのとおりです。 さて、進んでください。
35:44 学生: 僕は、それに何も関係しないで、恐れを持ったことが、ありません。
35:47 K: で、恐れすべてはいつも、何かへの関係において、存在します。 

学生: はい。
35:53 K: さて、君は、それを発見しましたか。
35:56 または、ただそれを反復しているだけですか。
35:59 学生: 自分がそれを発見したと、思います。
36:01 K: 君はどのように、それを発見しましたか。
36:04 学生: いつでも僕が恐れを持ったとき、それはいつも、何かに関係しています。
36:09 K: そのとおりです。
36:11 学生: で、僕は、何にも関係していない恐れを、持ったことが、ありません。
36:14 K: で、君は、何かを見つけたのです。

学生: はい。
36:16 K: で、君が発見したとき、何が起きますか - 気をつけて聞いてください - それはいつも、何かへの関係において、ある。 そして、何かへ関係していないとき、恐れはないことを、 発見したとき、ですね。 それを言う、君の精神の状態は、何ですか。 気をつけてください。 質問を理解できますか。
36:48 学生: 僕はそれを、よく理解できません。
36:55 K: 君は、何を感じますか - 恐れは、何かのせいで存在するだけだと悟るとき、 理解するとき、発見したとき、です。 君の精神の状態は、何ですか。 その瞬間に、君は、恐れを持っていないでしょう。
37:17 学生: はい。 僕が、自分が間違ったことをしたりした何かや、 何かについて、考えるのでなければ、です。
37:22 K: それは、どういう意味ですか。 気をつけて考えぬいてください。 時間を掛けてください。 神経質にならず、午前中ずっとを掛けてください。
37:45 学生: 記憶が駆け込んでくるまでは、 過去について、何をも、考えたことが、ありません。 そのときまで、一種、全然、恐れていないんです。
37:52 K: で、それは、どういう意味ですか。 その瞬間・・・
37:54 学生: 記憶が駆け込んできた瞬間・・・
37:56 K: そうなんです。それは、どういう意味ですか。気をつけて考えぬいて。 君は、彼が言うことに、付いていきましたか。 

学生: はい。 思考が入ってきた瞬間、君は恐れています。ですね? 君はそれを、発見しましたか。 これを発見することは、大きなことです - 理解できますか。 すなわち、思考は、何かについて作動する。 楽しみ、あるいは、痛み、あるいは、恐れについて、です。 分かりましたか。 で、君は発見したのです- 思考が・・・ 未来について考えることが、 恐れを引き起こす、と。 いいですか? 君たちはこれを、理解しましたか。 君は、何と言いますか。
39:10 学生: 何かについて考えて、それから、それを連想するとき、 恐れています。 私はそれを、理解しました。 ですが、思考自体は、蓄えられている自分の経験から、生じます。 それで、あなたに、お訊きしています -それは、こういう意味ですか - 自分の経験を蓄えてきたからこそ、 恐れている、ということですか。
39:39 K: 見てください。ここに座っていて、私は、何をも恐れていません。ですね? ですが、私は、教師たちが何と言うかもしれないと、考えはじめるとき、 未来について、考えていますね。 それは、明らかですか。 で、未来について考えることが、恐れをもたらします。 それは、明らかですか。 それが明らかであるよう、すっかり確かめてください。 そのとき君は、自らが考えるのを、どうするのでしょうか。 君は、理解しましたか。 私はここに、静かに座っています。 私は、恐れていませんが、 起きるかもしれないことを、考えることは、 恐れを引き起こすでしょう。 ですね? 私はそれを、発見します。 そのとき、問いはこうです - なぜ思考が、いつも作動すべきでしょうか。
40:59 学生: これには、よく付いていけません。 自分が恐れていないことを、どうやって知りますか。 たぶん、自分は恐れていないと考えるでしょう。
41:06 K: 今、彼はそう言いました。
41:09 N: いえ。私は、彼が言ったことは、こうだと、思います - 記憶が溢れ込んでくるとき、恐れがある、と。 また彼女は、考えるとき、恐れが入って来ると、仄めかしました。
41:22 K: もちろんです。
41:24 N: で、思考は、いつも作動すべきでしょうか。 私たちは、恐れがないとは、言っていません。
41:28 学生: でも、あなたが、自分は恐れていないと言うとき・・・
41:31 K: 私はけっして、そう言いませんでした。 君が、そう言っています。
41:33 学生: いいです。僕が、自分は恐れていないと、言うなら・・・
41:35 K: いいえ。気をつけてください。 正確に言ってください。 君は、この部屋に、このホールに座っている間、恐れていません。 彼は、そう言いました。 君は、聞かなかった。 で、君は、何かを発見しました。 静かにそれに入って行くなら、きわめて大きなことを、です - すなわち、思考が、未来について恐れをもたらす、と。
42:12 学生: でも、未来についてのその恐れさえ、 他の誰かにより、そこに入れられました。
42:17 K: ああ、待って。 逸れていかないでください - 他の誰かが、君の中へそれを入れたのでも、です。 これは事実です。ですね? で、君は、学んでいます。 書物からではなく、誰かからではなく、 君は、見つめることにより、観察することにより、 検討することにより、学んでいます。ですね? 理解できますか。 分かりましたか。

学生: はい。
42:57 学生: 仮に、私は、蛇が何かを知らないとします。私はそれを見つめます。
43:01 もしも、それが有毒であることを、知らなかったなら、 私は、それを恐れないでしょう。 もしも、誰かが私に、それは有毒だと語ったなら、 そのとき初めて、私は恐れを持つでしょう。
43:10 N: 彼女は、こう言っています -自分が蛇を見るとき、 誰かが自分に、それは有毒だと語っていた。それで、自分は恐れている。 でも、もしも、誰も彼女に語っていなかったなら、 たぶん自分は、恐れないだろう、と。
43:22 K: 誰かが、君のお父さん、お祖父さんたち、 人々が、君に語ってきました - 「蛇に気をつけなさい。それは、君を傷つけるだろうから」と。 で、すなわち、君は、親により、過去により、条件づけられています - コブラは危険な蛇である、と。 ですね? さて、それは、自然な自己保護的な反応なのでしょう。 君がそれを理解するのかどうかと、思われます。 私はコブラを見ます。 私はそれから、走って逃げます。 なぜですか。 気をつけて、一歩一歩、考えぬいてください。
44:08 学生: それはコブラだと知っているし、 人々は、それは有毒だと自分に語ってきたからです - それに噛まれると・・・
44:14 K: 死ぬかもしれない。
44:16 学生: ・・・何か深刻なことが、起きるかもしれない、と。
44:18 学生: で、それから走って逃げます。何かが起きるかもしれないと、知っています。
44:21 K: さて、待ってください。 すなわち、それは、自然でないですか。 ちょっと待ってください。 私にこの子を、終了させてください。 コブラを回避することは、自然で健康的ではないですか。
44:39 学生: でも、或る人物が、それは有毒だと語ってくれるまで、 それは自然ではありません。
44:44 K: いえ、ただ聞いてください。 私の親は、私に語ってきました- 私のお祖母さんなどが、 コブラは危険である、と。 ですね? 私は、それが危険であると、知りませんが、 それを見つめることにより、私はすでに、自己保護的です。ですね? で、コブラから走って逃げることは、自然です。 誰かが私に語ってくれても、くれなくても、 私は、このものが、見えます。 私は、それと遊び戯れません。 私は、虎を見ます - 私はかつて、虎を見ました。 すっかり近くで、です。 誰も私に、それは危険な動物だと、語らなくていい。 それは危険でした。
45:30 学生: でも、誰かが前にあなたに、語っていたでしょう。 

K: 待って、見て!
45:34 K: 気をつけて聞いてください、お兄さん。 私は、山々の中にいましたが、私は虎を見ました - 全く近くで、です。 そのまさに見目、その力、 そのとてつもない活力が、私に、「それに触れるな」と語りましたよ。 人々が私に、虎は危険であると、語っていたかもしれませんが、 それを見ることこそが、それを回避するには、十分です。 君がこれを理解するのかどうかと、思われます。
46:11 学生: では、ただ見ることが、逃げるのを、助けてくれるでしょう - ただそれが、獰猛とか何かに見えるなら、です。 それは平静に見えるけれども、危険なら、それから逃げるだろうとは、思いません。
46:22 K: パラシュート - あれは、大変不自然なものです。 パラシュートを着けて、航空機から落ちるよう、訓練されてきた。 私は、自然と恐れますが、それに慣れます。 そのとき、私は恐れていません。 君は私に、何を言おうとしていますか。
46:51 学生: 僕はあなたに、こう言おうとしています - 虎が見えるとき、それは獰猛に見える。 たとえ、それが危険だとか何かだと知らなくても、 その見目により、逃げ去るでしょう。 でも、仮に、それが平静だけれども、危険だと、します。
47:06 K: その見目により、それが危険だと知ります。
47:11 学生: 虎が見えて、虎を観察するとき、 起きるかもしれないことの思考は、精神に入ってきません。
47:18 K: その瞬間には、何もありません- 危険だけです。
47:23 学生: でも、虎を観察するなら、 起きるかもしれないことの思考は、精神に入ってこないでしょう。 ゆえに、未来はない。 それで、怯えていると感じません。
47:32 K: もちろんです。 君たちはみんな、私に何を言おうとしていますか。 何ですか。 私は単純に、君たちへ指摘しているだけです - 思考は、お父さんが私を叱るだろう、 親、教師が私を叱るだろうと言う、ということを、です。 それで、思考は、未来を創り出す。 それについて、恐れが生じます。 それが、私が言っているすべてです。 いいですか?

学生: はい。
48:21 K: で、君はどのように、思考が生ずるのを、防止するのでしょうか - 未来について、です。 思考は、必要です。 車を運転するため、 手紙を書くため、言語を学ぶため、 物理学を学ぶために、思考は必要です。 さて、思考はまた、恐れをも創り出す- 未来について考えて、ですね。 そこで、思考は必要ですが、ここで、思考は必要でない。ですね? 思考は、車を運転するために、必要ですが、 私はまた、思考が恐れを創り出すことが、分かります。 で、私は、何をすべきでしょうか。 何が、されるべきでしょうか。 考えぬいてください。
49:27 学生: その瞬間に、思考が作動するのを、防止します。 たとえば、この瞬間に、他の何かへの思考が、 僕たちが行っている対話に介入するのを、防止する。 僕は全的に、対話に気づいています。すなわち、 僕は全的に、あなたに聞いています。 それで、思考はありません。 それが、思考が精神へ入ってくるのを、防止する、一つの道です。
49:50 K: では、君はどのように・・・それは理解できます。 君は質問に答えていません。 気をつけて、考えぬいてください - 恐れを創り出しかねない思考が生ずるのをどのように防止するのでしょうか。 君は質問を理解しましたか。

学生: はい。
50:08 K: さて、答えてください。 検討してください。
50:19 学生: 私は、自分がそれを見つめるのを、感じます。 それから、それについて考えはじめます。 私はただ、それを見つめつづけます。 私は、何かを怖がっているなら、 私は、自分の恐れの気持ちを、見つめつづけるでしょう。 そのとき私は、それについて、考えないでしょう。
50:34 K: いいですよ。君は今、どのように、考えないことに、留まるのでしょうか。
50:42 学生: 私はただお話を聞くだけです。 すると、私は考えません。
50:45 学生: 何であれ、その瞬間に自分がしていることに、没頭することによって、です。
50:50 N: 彼女は、その瞬間に自分がしていることに、 没頭することによって、と言っています。 彼女は、考えるのではなく、それを見つめることによって、と言っています。
51:00 K: 気をつけて。それで十分です。 二つの発言です - 見ることによって。 すなわち、私が今、していることを、見つめる。 見る。そして、見守る中で関心を持つ。ですね? それは、どういう意味ですか。 ゆっくり、それに入ってください。
51:32 学生: 私が持っているエネルギーすべてが、全的にそれに集中されるように、です。
51:37 K: ゆえに、それは、こういう意味です・・・待って! 君が、完全な注意をもって、全的に見守っているとき、 思考は生じません。ですね? 君はそれをできますか。
51:57 学生: ごく稀に、です。
52:01 K: ごく稀に。なぜですか。
52:06 学生: 私は、本当は見守らないからです。
52:10 K: いいえ、お嬢さん。 私は、何かを訊ねています。 なぜ君は、ごく稀に、と言いますか。
52:15 学生: なぜなら、それは、ものすごい量のエネルギーを、必要とするからです。
52:20 K: ときどき、それは起きる。 ときどき、それは起きない。 さて君は、なぜそれがときどき起きるかを自分自身で見出したのですか。
52:32 学生: ときどき精神は、他の物事について考える気が、しませんが、 ときどき、精神はとても興奮します。 それは、あまりに長く、一つのことに留まっていられません。
52:43 K: それは知っています。 私は君に、なぜかを訊ねています。
52:47 学生: 自分の精神を、多くの他の物事で、占有するからです。 自分の精神を、多くの他の物事で占有します。 一時に、一つのことだけをしていません。 多くの物事について、考えています。 

K: なぜ?
53:00 いいですよ。君は何かを言いました。 気をつけて、ゆっくり行ってください。 君の精神は、多くの物事に占有されています。 ゆえに、それは、何かを完全に見つめる能力が、ありません。
53:17 いいですか?

学生: はい。
53:19 K: 君は、なぜ自分の精神が、多くの物事に占有されているかを、見出したのですか。
53:29 学生: 私は、そうあってほしいと、願いません。 なぜなら、私は、どれほど自分にエネルギーが、必要になるかを、知っているからです。 それは疲れます。で、私はただ一種、他のことを、しつづけます。
53:41 K: なぜ君の精神は、そもそも他の物事に、占有されていますか。 聞いてください、お兄さん。私が言っていることを、理解できますか。 あの女の子がちょうど、言いました。 何かを、ごく間近で注意深く観察するとき、 それより他の思考はない、と。 ですね? ですが、思考は、今すぐ入ってくるし、たくさん物音を立てますね。 すなわち、君の精神はいつの時も、何らかのことに、 占有されつつあります。
54:19 K: ですね?

学生: はい。
54:21 K: なぜですか。 気をつけて、考えぬいてください。 なぜ君の精神は、いつの時も、何かに占有されていますか。
54:36 学生: ときどき、自分の先に何かがあることを、知ります - 何かすてきなこと、です。 それについて、考えます。 他方で、また、自分を待っていることも、何かあります - 少し損傷を与えるだろうこと、です。 一時に、どちらについても、考えます。 

K: ええ。

学生: で、自分が得ようとしている現在に、集中することができません。 または、自分が持っている恐れに、です。
54:56 K: ええ、それは占有されています。 

学生: はい。
54:59 K: 私は、なぜかを訊ねています。 君は、考えていません - 君たちのみんなが、です。
55:11 学生: あなたの問いは、こうでした - なぜ精神は、いつの時も占有されているのか。 

K: ええ、ごらん・・・

学生: 僕は今、それについて考えてきましたが、僕はあなたに、 それは僕が聞いていないからだと、言っています。
55:28 そういうわけで、占有されているんです。 

K: いえ、いえ。

K: 君の精神は、時間のほとんど、何らかのことで、 占有されているでしょう。
55:40 学生: ときどき、そうではありません。
55:43 K: もちろん、ときどき、稀に、そうではないが、 私は訊ねています - なぜそれは、占有されていますか。 質問を理解できますか。

学生: はい。
55:54 K: 答えてください。 それが占有されていないとき、何が起きますか。
56:09 学生: 十分に集中できます。

K: いえ、何が起きますか。
56:13 見てください。私は、教えることに、占有されています。 私は、書くことに、占有されています。 私は、話すことに、占有されています。 私は・・・とても多くの物事に、占有されています。ですね? 私が、自ら占有されていないなら、何が起きますか。
56:32 学生: 他の物事は、放置されます。
56:34 K: いいえ。私の精神には、何が起きますか。
56:38 私の精神は、占有されていない。 ですね? 

学生: はい。
56:44 K: 私は、何かに占有されていないことに、怯えていませんか。
56:48 学生: 僕は、不安全に感じます。
56:53 N: 彼は、占有されていないとき、不安全に感じます。
56:56 K: そうなんです。 それが占有されていないとき、君は、不安全に感じます。 で、そのとき、次の歩みに行ってください。 次の歩みは、何ですか。 なぜそれは、不安全に感じますか。
57:18 学生: なぜなら、僕は、いつも何かに自分の精神を占有させていることに、
57:22 慣れているからです。

K: ええ。それは、どういう意味ですか。 進んでください。 君は、そう言いました。 君は、「僕の精神が占有されていないなら、 精神は不安全に感じる」と言いましたね。 で、それは、どういう意味ですか。 何かの占有をとおして、君は、安全を見つけようとしてきました。
57:44 学生: はい。

K: ですね?
57:50 次の歩みは、何ですか。 そうね、君たちは慣れていない・・・
57:55 学生: 私は理解できません。 なぜなら、精神が何らかの形で 占有されていないとき、私は不安全に感じないからです。
58:04 K: 君は、自分の精神が占有されていないときを、経験しましたか。 または、知っていますか。

学生: はい、ときどき。
58:19 K: ときどき、と言わないでください。

学生: はい。
58:24 K: 君は、自分が何を言っているかを、知っていますか。
58:27 学生: 知っています。
58:28 K: 待って、待って。君は知っていますか・・・待って、お嬢さん。
58:33 君は、自分が幸せであるときを、知っていますか。
58:39 学生: はい。
58:43 K: または、君は、自分が幸せであったことを、知るだけですか。
58:47 学生: いいえ。私は、自分が幸せであることを、知っています。
58:51 学生: 私は同意しません・・・
58:53 K: 全くそうです。同意しないでください。 それについて、対話をしてください。
58:58 私は君たちへ、私に同意するよう、頼んでいません。
59:05 学生: それがすでに起きた後にのみ、私は、自分が幸せであることを、知ります。
59:10 K: 全くです。ですが、私は彼女に、訊ねています。 私は、「私は今、幸せだ」と言えますか。 または、それはすでに去っていますか。
59:21 学生: それは去っています。ほとんどの時、それはすでに去っていて、 それから私は知ります。ですが、ときどき、起きるのは・・・
59:28 K: 知っています。ときどきそれは起きます。 君は、「ときどき」を反復しつづけます。 「ときどき」という言葉を、忘れてください。
59:38 学生: でも、そうします。

K: それが、私が言っているすべてです。 私たちは止めたほうがいい、と思います。思いませんか。 君たちの精神は、少し伸びましたか。 今朝は、これで十分ですか。 いいです。 二、三分間、静かに座りましょうか。 絶対的に静かに、快適に座ってください。 静かに座ってください。 よろしいです。