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RV84DS3 - 腐敗の原因は何なのか
第3回、学生たちとの討論会
インド、リシ・ヴァレー
1984年12月20日



0:38 K: 君たちは、何について話をしたいのでしょうか。
0:43 学生: 誇りです。
0:47 K: 誇り。 君は誇りを持っていますか。

学生: 時々。
0:53 K: 時々。なぜです? 君は、何について誇りを持っていますか。
1:00 学生: 何かを達成すること、です。
1:03 K: 達成すること。 君は、何を達成しましたか。 または、君は、達成した人々を、賞賛しています。 または、君は達成したいと思いますか。 それが、君が話をしたいことですか -誇り、達成、成功、お金、 地位、権力。それが、君たちみんなが欲しいものですか。 たぶん、君たちみんなが、そうでしょう。 自分をごまかしてはいけません。 自分を欺瞞してはいけません。 君たちはみんな、それらのものが欲しいのです。
1:54 学生: いえ、先生。僕らはみんな、それが欲しいです。なぜなら、今日の世界で 僕らは、それらのものなしに、生きられないからです。
2:04 K: 今時、私たちは、それらのものなしには、生きられないと、その男の子は言います。 どうして分かるのですか。

学生: どこにも、貧しい人が見られます。
2:14 K: 君はここに出てきなさい!
2:21 学生: どこにも、貧しい人とか、何でも、見られます。先生。
2:25 彼らに何も与えないなら、彼らは論争するでしょう。または、 彼らを、すてきな人にしようとしないなら、彼らは、何も尊敬をしてくれないでしょう。
2:32 K: で、君は、何になりたいんですか。
2:35 学生: ほどほどの尊敬を達成できるものなら、何でも、です - 幸せな生を生きるために足るほど、ですが、あまりに尊敬されすぎるためではない。
2:45 K: 君はすっかり正しい。 あまりに尊敬されすぎないが、 相当、快適な生と幸せな生。 そうですか。

学生: はい。
2:56 K: それが、君の欲しいものですか。

学生: はい。
2:58 K: だったら、それを追い求めなさい。
3:00 学生: 先生、でも、それを達成しようとするのなければ、それはたやすくないです。
3:09 K: 他に質問は?
3:12 学生: 冥想と集中との間の違いは、何ですか。

学生: 冥想と集中との間の違いは、何ですか。
3:32 K: 理解しました。

K: 君は本当に、それについて話をしたいですか。または、それはゲームや、 ただ面白いんですか -何か自分が興味を持つかもしれない ことについて、話をすることが、です。 そうですか。 君は本当に、冥想と集中が何なのかを、知りたいんですか。 よろしいです。 君が本当に、それについて話をしたいのなら、 私が言おうとしていることへ、注意を払うでしょうか。
4:14 学生: はい、先生。
4:15 K: 「はい、先生」と言って、そわそわしないでください。 君は本当に、それについて話をしたいのですか。 そうであるなら、それはきわめて深刻な主題です。 君は、何が集中であると、考えますか。
4:35 学生: 何か本当に考えたいことです、先生。 深く考え、深く入りたい。 それについて深く考えるんです。
4:46 K: それについて深く考える。

学生: それについて深く考える。
4:49 K: それについて深く考える -君のいうそれは、どういう意味ですか。
4:54 学生: 何か、僕たちが、精神を留めておきたいことです。
5:01 K: ここに来なさい! 何か、君が精神を留めておきたいこと。 いいですか? 君はそれを、やってみたことがありますか。 君は、あれらの花を、見つめたい -または、自分の書物、 または、自分の教育者が言っていることを、です。 君は、よく気をつけて、あれらの花々を、見つめたことがありますか。 教師が君に語っていることを、です。彼に聞く、 そして、書物に集中することが、ありましたか。
5:50 学生: 時々です。

K: 時々ね。 それはいつ、起きますか。 それが好きなとき - ですね?

学生: はい。
5:59 K: さて、君は、何かが好きなとき、注意、思考、エネルギーを 向けます - それを観察する中で、です。 ですね? それが一般的に、集中と呼ばれます。 すなわち、君は、自分が読んでいる書物に、集中します。ですね? または、何か、君がよく気をつけて見ているものに、 あれらの花に、です。ですね? または、君の友だちや先生が、君に言っていることに、です。ですね?
6:40 学生: はい。
6:44 K: 君は、よく気をつけて、何かを長い時間、 見守ったこと、集中したことがありますか。 一秒や二秒の間ではなく、長い時間、です。 そうしたことがありますか。
7:04 学生: 僕は知りません。

K: ええ、今やってごらん。 今、よく気をつけて、誰かが君に言っていることを、聞こうとしてごらん。 または、あれらの花を、長い時間、見つめてごらん。 他の思考を入らせないで、です。 それが、集中が意味することです- 焦点を合わせる、 自分の注意すべてを、何か聞いていることへ、 向けることです。 または、読書していることへ、 何かを見守っていることへ、です - 壁の向こうのヤモリ、です。 君はそうするでしょうか。 今、君は、そうしていますか。
7:56 学生: はい。

K: していますか。よし! さて、それが起きるとき、何が起きますか。
8:06 学生: 僕らはそれを理解します。
8:09 K: 君が理解するだけではなく、何が起きつつありますか。 私は今すぐ、君に説明しましょう- 君は自分自身で、それを考えぬいてください。 君はどこから来ていますか。
8:28 学生: バンガロールです。

K: バンガロールね、よし。 私は、二人の男の子を持っています。 さて、二人の女の子かな。 今、彼は、集中と冥想の間の違いが何なのかを、 知りたいと思います。 ですね? 君は、冥想(メディテーション)という言葉を知らないでしょう。それが何を意味するのか。 そうだね。また君は、「集中」という言葉の意味を、知らないですね?
9:05 学生: 今、僕は知っていると思います。

K: 今、君は知っています。 なぜなら、私がそれを君に、指し示してきたからです。 で、集中は、「自分の思考、エネルギーの焦点を、何かへ合わせる」という意味です。

学生: 先生、(聞き取れない)・・・

K: こちらへ来なさい! 彼女にもっと隙間をあけるよう、ちょっと動いて。 彼女は大きな女の子です。いい?彼女は大きな女の子です。
9:45 学生: でも、精神に何の思考もなく、何かへ集中することは、 困難ではないですか。
9:50 K: そうなんです。それは困難ではないですか - 気をつけて聞いてください。 思考が入ってこずに、何かへ集中することは、 困難ではないですか。
10:04 学生: そうだと思います。
10:06 K: それは困難でしょう。 で、そのとき、君はどうしますか。
10:13 学生: 僕たちは、他の思考を遠ざけておこうとします。
10:16 K: 遠ざけようと。そのとき、誰が遠ざけておきますか。私は君のために、それを 錯綜させないでしょう。で、君は書物に集中します。他の思考が入ってきます。 ですね?

学生: はい。
10:33 K: そのとき君は、どうしますか。
10:38 で、それらを遠ざけておこうとします。
10:40 K: ええ。君は、他の思考を押しやろうとします。
10:45 さて、その過程には、何が進んでいますか。 私はこれに集中しています。 思考が入ってきます。 そのとき私は、それらを押しやろうとします。 そのとき思考が入ってきます。 で、私はこれをつづけるでしょう。 ですね?

学生: はい。
11:06 K: 君は、私が言っていることを、聞いていますか。 君は、興味がないのなら、思い悩まないでください。

学生: 僕は、あなたが正確に示すかもしれない答えについて、考えています。
11:19 K: 話が理解できませんが。
11:21 学生: 僕は、あなたがそれに対して、正確に示すかもしれない答えについて、考えています。
11:25 K: 見てください。私は君に語っていました -君が何かに集中するとき、
11:32 他の思考が入ってきます。 ですね? そのとき君は、それら思考を押しやろうとします。 そのとき君は、集中しようとします。 で、いつの時も、これが進んでいます。ですね?
11:45 学生: なぜそれらの思考は、入ってきますか。
11:47 K: 待って、待って。私は今すぐ、それへ行こうとしています。 初めに、何が起きつつあるかを、見てください。 君は、何かに集中したい。 そのとき思考が、入ってくる。 そのとき君は、それらを押し出す。 再び思考が、入ってくる。 再び君は、それらを押し出す。 で、君は本当は、集中していないでしょう。 なぜなら、思考が入ってきて、君をかき乱すからです。 さて、彼は訊ねました -なぜ思考は、入ってくるのでしょうか。 ですね?

学生: はい。
12:19 K: なぜ思考が入ってくるかを、君が、私に言ってください。私は君に言うでしょう。
12:24 学生: それは、僕たちがそれらのことについて考えるからである、と思います。 なぜなら、僕たちが何かをしているとき、他の何かが起きるんです。 そして、それについて考えます。
12:34 K: ええ。すなわち、君はこれについて、考えています。 君はまた、他の何かについても考えています。 そういうことですか?

学生: はい。
12:41 K: なぜこれは起きるのでしょうか。
12:45 学生: 先生、集中している間に、考えているなら・・・
12:53 K: ここへ来て、座りなさい! ごめんね、三人の男の子と、一人の女の子だ。
13:01 学生: 先生、集中しようとすると、 自分は思考を入らせるべきではない、と考えつづけます。 で、それらが入ってきます。

K: ええ。なぜそれらは入ってきますか。
13:12 学生: なぜなら、それらについて、考えつづけているからです。
13:14 K: でも、君はまたこれについても、考えています。
13:19 学生: なぜなら、僕らはそれらを抑圧しているからです。
13:23 K: そのとおりです。 君は捉えましたね。 君は、自分の言ったことを理解しましたか。 まだまだか。 君は、これに集中しようとしています。 他の思考が、入ってきます。 そのとき君は、思考を抑圧しようとします- これ以外の他の思考だけを、です。 ですね?で、君が抑圧するとき、何が起きつつありますか。 私は抑圧します・・・私は気持ちが悪い。 私は悪い食べ物を食べました。 私は感じて、 自分の痛みを抑圧しようとします。 さて、なぜ君は、そうしますか。なぜ君は抑圧を持っていますか。なぜ君は抑圧しますか。
14:11 学生: なぜなら、僕らは、そのほうがすてきだろうと考えるからです - 抑圧するなら、それらは再び来ないだろう、と。 で、それを抑圧します。

K: そのとおりです。 で、彼は言います - それらを抑圧するとき、それらは再び戻ってくる、と。 それで、抑圧するのは、無益です。ですね? 抑圧するのは、間違っているでしょう。 抑圧するのは、無益でしょう。 では、君は何をするのでしょうか。
14:43 学生: 本当に、何かについてとても真剣に考えているなら、 他の思考はありません。
14:48 K: でも、君、他の思考が入ってくるね。
14:51 学生: でも、何も他のことなく、本当に考えているとき、
14:54 なぜそれらが入ってくるんでしょうか。

K: さて、君は、なぜ思考がいつも後へ先へと動いているかを、 理解しようとしないでしょうか。 ですね? 君はその問いを訊ねないでしょうか。
15:07 学生: 先生、僕らは抑圧するから、 思考が入ってきて、僕らはそれらを制御できないし、 僕らは集中を失います。 で、僕らは何をすべきでしょうか。 なぜなら、それをただ放っておくなら、 他の思考はそれ自体で、去るであろうからです。
15:32 K: 私は、それをすっかりは掴んでいません。君は掴みましたか。
15:38 学生: 他の思考と何も関わりを持たないなら、 それらに注意を払わないなら、それらは去ってしまうんでしょうか。 それが、君が言っていることですか。
15:53 K: 君はここへ来てもらえるでしょうか。 ここへ来て、ここに座りなさい。 神経質になってはいけません。 これはとても複雑な主題でしょう。 ほとんどの人々、大人たち、若者たちは、子どもの頃から言われます - 君は聞いていますか。 気をつけて聞いてください - 子どもの頃から君は、集中するよう言われます。ですね? 君は窓の外を見たいのですが、教師は、 「君の書物へ集中しなさい」と言う。 でも、君は本当は、あの壁のあのヤモリを見守ることに、興味がある。 ですね? 教師は、「見てはいけない。 書物へ注意を払いなさい」と言います。 で、子どもの頃から君は、ヤモリを見守ることに、興味を持っていますが、 教師は、「これをしなさい」と言います。
17:18 学生: はい。
17:21 K: さて、もしも私が、君の教師だったなら、 「私たち二人で、あのヤモリを見つめよう」と言うでしょう。理解できますか。 君に強いて、書物を見させようとしない。 私が言っていることを、理解しましたか。
17:43 学生: はい、先生。
17:44 K: すなわち、君はあのヤモリを見守っています - ここにヤモリはいないよ! 君の興味は、書物にではなく、あのヤモリにあります。 で、私は教師として、君に言うでしょう- 「私たちは二人とも、よくよく気をつけて、 あのヤモリを見守ろう。それがどのように壁に貼りつくのか、 それがどれほど指先を持っているのかを見て、 頭を見、目を見よう」と。 いいですか?

学生: はい。
18:24 K: 私は、書物より、はるかにそれを見守るよう、君を手助けするでしょう。
18:30 学生: 先生、でも、僕は質問を持っています。

K: 何ですか。
18:33 学生: もし教師が、または授業中に 子どもたちが様々な時に散漫になるなら - 例えば、僕は一定の時に、散漫になるかもしれないし、 他の人物は、別の時に散漫になるかもしれない。 もし教師が、僕たちの散漫すべてへ向かって行くなら、 彼女はどうやって、持ち分を扱うのでしょうか。

K: 私は君に示そうとしています。 ここの君たちはみんな、とても利巧ですね。

K: 君は、どこから来ていますか。

学生: マドラスです。
19:07 学生: 僕の両親は、ザンビアに生活しています。
19:14 K: まず最初に、私に散漫はありません。
19:22 それを散漫と呼ばないでください。 重要なのは、君が見守る、注意を払う、 聞くことです。それが重要です。 しかし、散漫はありません。 「散漫」という言葉を使わないでください。いいですか? さて、一分間、待ってください。私は、君があのヤモリを見守るよう、手助けします。 または、私は君が、あの少年があちらに座っていて、落ち着かず、指をもぞもぞ させているのを、見守るよう、手助けします。いいですね? 私が君を手助けしているのは - 手助けではない - 私が君に示しているのは、 こうです。君が何かへ注意を払うとき - それが正しくても、間違っていても、です - そのとき君は、書物へ注意を払えるのです。 捉えましたか。

学生: はい、先生。
20:16 K: 確かですか。

学生: はい。
20:18 K: すなわち、君は、あのヤモリへ注意を払うとき、 注意の芸術を学んだのです。 私は、自分と一緒に、注意を払うよう、少年すべてとか、 二十人か十五人の少年を、手助けしようとしています。 そして、注意があるとき、散漫はないのです。
20:49 学生: 先生、では、なぜ教師たちは、そうしないんですか。 仮に、僕たちは授業で散漫になる、とします。
20:54 K: 散漫はありません。 それを散漫と呼ばないでください。
20:58 仮に、私たちは何かを見守りたい、とします。 そのとき、教師たちはなぜ、私たちがそのものを見守るのを、手助けしないのですか。
21:05 K: 彼らに頼みなさい。 私は君に語っています - こちらへおいで。 男の子三人、 女の子二人だ。よし。 ここへ上がりなさい。そのほうが良い! だいじょうぶですか。

学生: はい、先生。
21:24 K: 君は恥ずかしくないかな。

学生: いいえ。
21:26 K: そのほうが良い。 君は訊ねています - なぜ教師たちは君にこれらを語ってくれないのか、と。 ですね?

学生: はい、先生。
21:34 K: なぜ彼らは、君に語ってくれないのか。
21:37 学生: 彼らは、自分の特定のこと - 何でも彼らが僕らに 教えたいと思ったこと - を、終了させたいんだと、思います。
21:42 K: そのとおりです。彼らはそれを済ませてしまいたい。 彼らは退屈している。 君は退屈している。ですね? 彼らは、自分の言うべきことを。 すばやく終了させて、 次の主題や次の授業へ進みたいんです。 で、彼らは、教えることに退屈しています。 ですね? さて、彼らから見出しなさい- なぜ彼らは退屈しているのか、 なぜ彼らは、すばやく終了したいのか、 なぜ彼らは、君が注意を払うのを、手助けしないのか。 理解できますか。 君は、あのヤモリへ注意を払うなら、 そのとき、注意の芸術を学んだのです。 ですね?捉えましたか? そのとき君は、書物へ注意を払えます。 そのとき、散漫はないのです。
22:39 学生: でも・・・

K: 待って、待って、待ってよ、君。 私は終了させていないよ。 もしも私が君の教師だったなら、よく気をつけて、君に指し示すでしょう - 注意とは何かを、です。 ですね? 注意は、君が見守っているものへ、完全なエネルギー、注意を払うことです。 ですね? 君はそれを学ぶなら、自分の書物へどう注意を払うかを、学べます。
23:26 学生: はい、先生。
23:28 学生: あなたは、ヤモリにだけ興味があるかもしれません。 あなたは、学習が好きでないかもしれません。 あなたは、自分の学習に興味を持たないでしょう。
23:34 K: 誰かは、学習したくないかもしれません。 ならば、学習しないでください。

学生: 先生、では、あなたはつづけられ・・・
23:41 K: 見出してください。見出してください。 学んでください。なぜ君が書物を読みたくないかを、見出しなさい。 さて、君は今、私に聞きます。 私たちは、集中について話してきました。 すなわち、君は考えています。 何かへ注意を払っています。 そのとき、他の思考が入ってきます。 君は、それらの思考を押し出します。 で、いつも、この葛藤があるのです- あれへ注意を払いたいのに、 思考が入ってきます。で、常に頭脳のおしゃべりが、あるのです - おしゃべり、おしゃべり、おしゃべり。 ですね?捉えましたか。 さて、冥想です。 「冥想(メディテーション)」という言葉 - 君は、その言葉が何かを、知っていますか。 それについて、聞いたことがありますか。
24:45 学生: はい。
24:47 英語での「冥想(メディテーション)」はまた、測量する、という意味です。 ですね?「測量する」。 サンスクリットと同じく、もし君が訊ねるなら・・・
25:07 学生: ・・・ラディカジに。

K: ・・・ラディカジに。 何とまあ、手助けしてくれてありがとう。 もし君がラディカジに訊ねるなら、彼女は教えてくれるでしょう。 サンスクリットで、「マー」もまた、「測量する」という意味です。 で、冥想はまた、「測量する」という意味です。 さて、測量なしには、テクノロジーの前進は、まったくありません。 同意しますか。それは分かりますか。 これらは、分かりますか- 私が言っていることは。
25:50 学生: それはどういう意味ですか。僕は、あなたが言われた言葉を、理解できません。
25:53 私が使っている言葉を、理解できないの?
25:56 学生: はい。

K: 私は「測量する(メジャー)」を使っています。 君は、巻き尺のメジャーを持っていますよね。

学生: はい。
26:03 K: 冥想(メディテーション)は、また「測量」をも意味しています。
26:10 学生: 彼は、「テクノロジー」という言葉を理解しないんだと、僕は思います。
26:18 K: ああ、君は、「テクノロジー」という言葉を、理解しないんですか。
26:23 テクニック - 何かをするため、です。 例えば、君は車を作りたいと思います。 君は、部品すべてを知り、それらを組み立てなければなりません。 それらはすべて、一緒に働いています。 私は、車を分解したことがあります- すべてバラバラにしました。 それから、それをすべて組み立てました。 それが動くだろうと願って、です。 でも、それは動きました。 いいですか? 機械類すべてについて学ぶ - それがどう働くのか、その部材が何なのか、 その測量はどうなのか、 その金属強度など、そのすべて。 それについて学ぶことが、テクノロジーと呼ばれます - その幾らかです。 さて、冥想、集中は、私にとって、 二つの全然違ったことです。
27:24 学生: 先生、しょっちゅう、集中しようともせずに、集中しますよ。 何かをしているだろうように、です。 集中しなくていいんです。 集中しているでしょう。
27:37 君は何かをできます - 君は、何かを愛しているなら、集中しなくていい。 それを理解しましたか。

学生: はい。
27:45 K: 君が何かを愛しているなら、集中はありません。 君は何かを愛していますか。

学生: かなり多くの物事を、です。
28:02 K: 君は、かなり多くの物事を愛している。 それらは何ですか。

学生: 先生、僕は読書が好きです。
28:12 K: たこ揚げは?

学生: はい。
28:17 K: 山登り、木登り、猿たちを追いかけること。
28:28 君は本当に何を愛していますか。
28:30 学生: 切手収集です。

K: いや、ちょっと待って。 これは、小さな少年たちにとって、あまりに複雑な主題です。 冥想は、測量から自由であることを、意味しています。 これは、君たちみんなにとってあまりに困難です。
28:54 学生: 先生、集中は、何か強いて何かをすることです。 冥想は、何をも強いないところに、あるかもしれません。
29:03 K: そのとおりです。 努力がないとき、矛盾がないとき、 冥想は起きうるのみです。 君は矛盾を知っていますか。 一つのことを言い、別のことをする。ですね?
29:19 学生: 先生、仮に、読書好きだとします。 そのとき、本当にそれへ集中しています。 自分が集中しているのを知らないところ、それが冥想ではないですか。
29:26 K: いえ、いえ。そのとき君は、書物が言っていることを、理解しようとしています。
29:30 学生: 自分が集中しているのを、知りません。 彼が言ったように、自分が集中しているのを、知りません。 でも、集中しています。
29:36 K: すなわち、君が何かを好きなとき、 君が、良い探偵小説を読みたいとき、 それを楽しむでしょう。 これは、君にとってあまりに困難です。 冥想と集中について、思い悩まないでください。 それは、あまりに困難すぎます。
29:57 ですね?

学生: ええ。

K: 少しね。 さて、私は、他の何かについて、話をしたいとも思います。 話していいですか。

学生: はい、先生。
30:05 K: 私は君たちへ、何について話をしたいと思うのかを、訊ねてきました。 それから、君たちへ、これらすべての質問をした後、 私は君たちへ、他の何かについて話をしたいとも思います。いいですか。
30:16 学生: はい、先生。

K: みんなが、ですか。
30:18 学生: はい、先生。

K: 「はい、先生」 人間たちは、君のように、能力を持っています。 或る種の隠れた才能を、持っています。 才能 - 理解できますか - それは、絵を描くこと、ヴァイオリンを弾くこと、 フルートを吹くことや、とても善い人間であることです。 君たちは、人間たちは、隠れた才能を持っています。 ですね? 君の社会、君の親たち、 誰もがみな、「ビジネスマンになりなさい」と言います。 または、医者になりなさい、エンジニアになりなさい、 または、インドの行政官になりなさい、と - 公務です。ですね? で、君の頭脳 - 理解できますか - 頭蓋骨の内側にあるものは、 君の親たちや、君の生きる社会により、条件づけられています。 理解できますか。

学生: はい。
31:41 K: で、君自身の才能は、この圧迫により破壊されます。 君は、偉大な画家なのかもしれません。 ですね?または、偉大な歌手や、 すばらしい植物学者、園芸家なのかもしれません。ですね? しかし、君の親たち、君の社会は言います - 「いや、それは十分ではない。 君は本当はビジネスマンとか、良い医師とか、 インド行政官にならなければならない」と。 で、君は自分の才能を破壊します。 重要なのは、君自身の才能を持つことです。 そのとき君は、それについて幸せです。 私が言っていることを、理解できますか。
32:44 学生: 先生・・・

K: 私が言っていることを、聞いてください。 私は今、話をしています。 君は、私に聞いています。 それが一つのことです -人間たちは本質的に、 隠れた一定の才能を、持っています。 ですね? いつも、ビジネスマンや軍の隊長や飛行士になるわけではない。 で、君は、自分の才能を発見し、その才能に拘らなくてはいけません - 君が貧しくなっても、豊かになっても、成功を収めても、です。
33:33 学生: 先生、でも、ビジネスマンになりたくて、 また、その傍らで、歌ったり、絵を描いたり、何でもできますよ。
33:44 K: 利巧な少年たちだ - あなたたちは、本当にこれらの少年を、見事に訓練してきました。 彼らは言います - あなたは、ビジネスマンや将軍や、軍の隊長に なれるし、また、絵も描ける、と。 あなたたちは、彼の頭脳がどう働いているかに、付いてきていますか。 君はまったく正しいよ。 そのとき君は、どちらの事をも適切に、十分に、幸せに、しないでしょう。
34:14 学生: 先生、なぜですか。
34:16 K: なぜなら、君は二つの間で、引き裂かれるからです。
34:19 学生: いいえ。

K: 私はこれを知っています。これを知っています。 理解できますか。

学生: はい。
34:26 K: 一分間、待ってください。私は、しばらくの間、話しています。 で、君自身の才能を発見することもまた、とても困難です。 それは、君を成功へ導かないかもしれません。 そのとき、それは大事なことではありません。 理解できますか。 そのとき君は、多くのお金を持たないことを、気に掛けません。 なぜなら、君は自分自身に、何かを持っているからです。 ですね?

学生: はい、先生。
35:05 K: で、見出してください。君たちのみんなが、自分の才能を 見出してください -自分自身の何かを、です。 教育により、親たちにより、社会により、課されたのではなく、 何か君が持っているものを、自分自身で見出しなさい。
35:25 学生: でも、僕らの親は、僕らに強いて、何かをやらせます。
35:28 K: 親たちが、君に強いて、エンジニアにならせるのを、私は知っています - 君に強いて、何らかのものにならせるのを、です。 しかし、君が若い間、ゲームをして、「ええ、僕はそれを受け入れます」と言う。 君自身で見出しなさい。
35:43 学生: でも、仮に自分に何かが起きる、として・・・
35:46 K: 知っています。私が言っていることを、ただ聞いてください。 なぜなら、私は、言うべきことを、もっと持っているからです。 いいですね?

学生: はい。
35:56 K: 構いませんか。

学生: はい。
35:59 K: また君たちは、このすばらしい谷を去るとき、 世の中へ入って行こうとしています - すべての岩々と陰と、 樹々と、花々と、本当に平和なキャンパスがある谷を、去る。 君は、ひどい世界に向かい合おうとしています。ですね? 暴力があります - 誘拐、 銃撃、賄賂。 世界は、ますます危険になりつつあります。 ですね? 世界は、腐敗しつつあります。 世界中で、です -インドでだけではない。 ここでは、まったく露骨です。 「露骨」という言葉が、何を意味するか、ご存じですか。まったくあからさまに、です。 彼らは、「私が何かをする前に、私に別の何かをくれ」と言います。 腐敗があります。ですね? 世界中で、です。 この国で、ここでだけではなく、 アメリカで、フランスで、 イングランドで、政治的な腐敗、 社会的な腐敗、闇市場など。 世界中に、ものすごい腐敗が、あるのです。 ですね? 私たちは、腐敗は賄賂を使うこと、テーブルの下でお金を渡すこと、 お勘定を渡さずに、現金を支払うことである、と言います。 そのすべてが、腐敗と呼ばれます。ですね? しかし、それは症状だけです。 君たちは、「症状」がどういう意味かを、知っていますか。

学生: はい、先生。しるしです。
38:07 K: 君は、「症状」が何なのかを、知っていますか。 症状はこうです - 私は何かを食べました。 とてももたれる食べ物を、です。 そして私は、お腹が痛くなりました。 お腹が痛いのが、症状です。 しかし原因は、私が、間違った食べ物を、食べたことです。 捉えましたか。

学生: はい、先生。
38:31 K: で、私は、腐敗の原因へ入りたいと思います。 私たちは、腐敗と言います - 君たちがみんな、聞いていてほしいと、願っています。 なぜなら、君たちはみんな、リシ・ヴァレーを去るとき、 世の中に、向き合おうとしているからです。
38:45 学生: 先生、仮に、彼が渡そうとしているお金を、取らない、とします。 彼は、何かもっと悪いことをするかもしれません。お金を取るなら・・・
38:58 K: 私が君にテーブルの下で、お金を渡すなら、君は腐敗します。
39:01 学生: ええ、先生。
39:03 K: そのとき、君もまた腐敗します。なぜなら、君はお金を、受け取りつつあるからです。 ですね?

学生: はい。 でも、僕がお金を取らないなら、彼は、何かをするかもしれません。
39:10 K: 知っています、知っています。君がそれを取らないなら、彼は君を傷つけるでしょう。 ただ聞いて、腐敗の原因が何かを、理解してください。 理解できますか。 腐敗は単に、テーブルの下でお金を 渡すこと、賄賂、闇市場だけではない。 原因は、何か全然違ったものです。 ですね? 私は、それに入ろうとしています -君が興味があるなら、です。 腐敗は、利己から始まります。 これを理解できますか。

学生: はい、先生。
40:00 K: 私が、自分自身に関心を持つなら- 自分が欲しいもの、 自分がならなければならないことに、です。 私が貪欲であり、妬み深く、 きつく、残忍で、残酷であるなら、腐敗があるのです。 理解できますか。 腐敗は、君の心に、君の精神に始まります。 お金を渡すことだけではない。 それもまた、腐敗ですが、 腐敗の本当の原因は、君の内側にあります。 君がそれを見出し、それを変化させるのでなければ、 君は、腐敗した人間になるでしょう。 私が言っていることを、理解できますか。 腐敗は、君が怒っているときに、ある - 君が嫉妬しているとき、君が人々を憎むとき、 君が怠けているとき、君が、「これは正しい。私はこれが 正しいと感じる」と言って、それに拘るときに、です。 私が言っていることを、理解できますか。
41:17 学生: 先生、あらゆることが、利己性のもとに来るように、見えます。
41:20 K: あらゆることが、利己性のもとに来る。 君はまったく正しいよ。 腐敗はそこで始まります。 君は、理解できますか。

学生: はい、先生。
41:35 K: だから、腐敗しないでください。
41:38 そのために君が死んでも、大事なことではない。
41:42 学生: 先生、

K: お待ちなさい。私から聞いてください。 理解できますか。 私たちはみんな、怯えています。 君は言います - 「僕はどうやって生きるのだろうか。まわりの人々みんなが 腐敗しているとき、自分は腐敗していないなら、僕は何をするのだろうか」と。 私がいう腐敗とは、どういう意味か、理解できますか - 外的なしるしだけではなく、人間たちがそれとともに生きている腐敗の 深い内的な感覚です - 利己的で、自分自身について考えていて、 自分の成功を欲しがり、妬んでいる。 理解できますか。 で、腐敗は、内側に、君の心、君の頭脳にあるのです。 それで、もし君が、よく気をつけて、それを理解するし、 君が冷笑的でなく、本当に真剣であるなら - あれら成長した少年たちのほとんどは、(リシ・ヴァレーを)去ろうとしていますが、 冷笑的になっています。彼らは、世の中がどうなのかが、見えます。彼らは、 「僕はそれを受け入れなくてはいけないな」と言います。それは一つの形の冷笑癖です。 しかし、君は今から、よく気をつけて理解するなら - すなわち、腐敗は、 単に、テーブルの下でお金を渡すこと、賄賂を使うことだけではない。 賄賂は、それが2ルピーでも、1000万ドルでも、 やはり、賄賂です。 暴力的であることは、腐敗、恐怖と呼ばれるもの、それらの一部分です。 それが、世界で起きつつあることです。 君は、成長しつつある人間です。 彼らのようにならないでください。 怒らないでください。妬まないでください。 いつも成功を探し求めないでください。
44:08 学生: どうすれば私たちは、それらを止められますか。どうすれば、妬むのを止められますか。
44:12 K: 君が妬んでいたいなら、妬んでいなさい。 そして、何が起きるかを、見てください。 理解できますか。 しかし、君が妬んでいたくないなら、妬んでいないでください。 「どうすれば私はそれを止められますか」と言わないでください。 君は、何か危険なものが見えるなら -コブラのようにコブラのように、です。誰も君に言いません。君は逃げます。 ですね? で、内側の腐敗は、大変危険です。 ですね?で、腐敗しないでください。 初めにそこで始めなさい。 外のそこではなくて、です。 理解できますか。

学生: はい、先生。
45:01 K: 君はそうするでしょうか。 約束しないでください。 君は絶対にそれを果たそうとしているのでなければ、けっして約束しないでください。 ですね? しかし、君は、それが生においていかに重要であるかが、分かるなら - なぜなら、君たちはみんな、成長しようとしているからです - 育って、このひどい世界へ、入ろうとしています。 それは狂気の世界です。 理解できますか。 何も正気はありません - 政治の世界に、宗教の世界に、です ですね? 経済の世界には、何も正気はありません。 で、どうか、私は君に、指し示しているだけです - 君がすでに成長していても、 このすばらしい谷を、去ろうとしていても、 または、さらに二年か四年、ここに留まろうとしていても、です。 腐敗しないでください - 内側で、です。 虚栄、誇りを、探し求めないでください。 「僕のほうが、他の誰かより勝っている」と言わないでください。 そうですね、謙虚さがあるとき、君は大変多くを学びます。 君は、「謙虚」という言葉を、知っていますか。 君は、本当に謙虚であるなら、大変多くを学びます。 しかし、君は単に、成功を、お金を探し求めているだけなら - お金、お金、権力、地位、身分を、です - 理解できますか。そのとき君は、腐敗から始めつつあるのです。 君は、貧しいかもしれません。 貧しくありなさい。誰が気にしますか。 そういうわけで、君にとって、君たちのみんなにとって、 自分の才能を見つけて、それに拘ることが、 重要であるのです。たとえ、それが、君に成功、名声、 それらを、もたらさなくても、です - いずれ、それはすべて、戯言です。なぜなら、私たちはみんな、死のうとしているからです。 君は、理解できますか。 君は生きている間、生きなさい - つづいているゴミのすべてでもって、でなくて、です。
48:12 学生: 先生、なぜ人々はこれを悟らないのですか。
48:20 K: 彼らは考えない、感じないからです。 彼らはいつの時も、自分自身について、考えています - 自分の職、 自分の運営、自分の仕事について、です。 理解できますか。彼らは、これに興味がありません。ほとんどの人が、そうです。
48:42 学生: どうすれば、利己的なのが、止まるのですか。
48:47 K: どうすれば、利己的なのが、止まるのか。 利己的でいないでください。 ただ聞きなさい。 けっして誰にも、「どうすれば」を訊ねないでください。 理解できますか。 そのとき彼らは君に、どうすればを、語るでしょう。そのとき君は、迷っているでしょう。 それが最大の腐敗です。
49:14 学生: 私たちは自分自身で見出さなければならない、という意味ですか。
49:17 K: 見出しなさい。探究し、自分の頭脳を使い、疑い、問いなさい。 単に受け入れてはいけません。 私は君の教師です。仮に、私は君の教師であると、します。 私は、君がとても良い頭脳を持つよう、見届けたいと思います。 ですね? 良い頭脳を持つとは、君自身の中に、とか 他の誰かと、葛藤を持たない、という意味です。 私は、これらがあまりに過ぎるのを、知っています。
50:03 学生: 先生、私はお訊ねしたいです。仮に、あなたが間違っていなくて、 誰かがあなたへ何かをする、とします。

K: もし、誰かが君に、何か害を加えるなら、
50:17 君はどうするのでしょうか。 叩き返しますか。
50:21 学生: それは、彼がやったことの深さに、依存します。
50:23 K: ええ。君は言いました。 何とまあ、君はなかなかだ。 彼が君を深く傷つけるなら、君は、どうするのでしょうか。 君たちは、傷つくとはどういう意味かを、訊ねたことがありますか。 進んでください。私と一緒に考えてください。 私と一緒に考えてください!
50:43 学生: 先生、傷つくこともまた、腐敗ですか。
50:45 K: ただ聞いてください。 仮に、私が君をきわめて深く傷つける、とします- 仮に、です。私は君を傷つけたくありません。 仮に、私は君を、きわめて深く傷つけたいと、します。 さて、君は、「僕は傷ついた」と言います。 さて、君のいうそれは、どういう意味でしょうか。 自分の頭脳を使いなさい。 反復してはいけません。
51:05 学生: 物理的に、ですか。

K: ええ、物理的にだけではなく、 内側も、です。彼は君を傷つけます。 彼は君を、バカと呼びます。

学生: 先生、僕が思うのは・・・
51:15 K: ただ気をつけて、聞きなさい。 君たちのみんなが、気をつけて聞きなさい。 彼は君を、バカと呼びます。 君は傷つきます。 ですね?君は、何が傷つくかを、見出したことがありますか。 気をつけて、気をつけて!
51:35 学生: 自分はバカでないと思っていて、そのとき誰かが、やってきて・・・
51:42 K: ごらん。誰かが君をバカと呼びます。 誰かが君を、偉大な人と呼びます。 それらはどちらも同じでしょう。 私が言っていることを、理解できますか。 誰かが私をバカ、間抜けと呼びます。 私は傷つきます - 仮に、です。 何が傷つきますか。 気をつけて、気をつけて!考えぬいてください。 すぐに返事をせず、考えぬいてください。
52:19 K: 考えぬいてください。 いいえ、私は聞こうとしません。 考えぬいてください、気をつけて考えぬいてくださいと、私は言いました。 私は、君に訊ねています - 私は君を間抜けと呼びます。私は(現実に)そう言っていません。 君は傷つきます。 君が傷つくというのは、どういう意味ですか。 君は何ですか。

学生: 自我です。
52:47 K: 考えぬいてください。君は、考えぬいてください。
52:53 学生: それは「私」、私の自我です。

K: 君とは何ですか。
52:58 学生: 僕は一人の・・・
53:01 K: こちらへおいで、君。 ここに座りなさい。 さあ、時間をむだにしないで。 私は君を知っています。 で、つづけて。
53:16 学生: 先生、傷ついたのは、「私」です。 僕が自分自身より築いてきたものです。
53:19 K: そうなんです。君が、自分自身より築いてきたもの、です。それはどういう意味ですか。
53:26 学生: 先生、達成されてきたこと、何でも僕が達成してきたこと、僕がしてきたこと、です。
53:30 K: 君がしてきたこと、君が達成してきたこと。 なぜ君たちはみんな、そんなに達成が慣習になっているの? 君たちはみんな、達成について話すね。 君のお父さん、お母さん、お祖母さんのように、彼らは達成してきました。 ですね?彼らは、成功を収めてきた、という意味だね。
53:52 学生: いえ、先生。彼らが彼自身にしてきたことです。
53:55 K: ええ。 例えば、私は世界中へ、幾らか行ってきたと、します。いいですね? 私は、様々な幾万もの人々へ、話をしてきました。 私は、国際連合へ行ったことがあります。 あらゆる種類のことを、私はしてきました。 ですね?それは、私が自分自身について、イメージ、絵図を築いてきた、という意味です。 ですね?私自身についての絵図です。 君がやってきて、「あなたはまぬけだ」と言います。私は傷つきます - 仮に、です。 何が傷つきますか。
54:30 学生: 私の気持ちが、です。

K: 私の気持ち、私のイメージが、です。
54:35 学生: あなた自身のイメージ、です。

K: はい、そのとおりです。 私自身のイメージです。なぜなら、私は旅行をしてきた、私は偉大な人である、 私は書物を書いてきた、私は、(首相)ガンディー夫人に会ってきたからです。 付いてきていますか。 私は自分自身について、イメージを築いてきました。そのイメージが、傷つきます。 さて、次の一歩 - 気をつけて聞きなさい。 私は、イメージなしに生きられるでしょうか - 何のイメージもなしに、です。
55:05 学生: 先生は生きられますか。

K: 私は生きられますか。ええ。 さもなければ、私はそれについて、話をしないでしょう。 何か自分自身が生きていないことについて、 話をするのは、不正直です。

学生: 先生、でも、あなたは行きたくて・・・
55:22 K: 待ちなさい、待ちなさい。君、私が言っていることを、お聞きなさい。
55:29 で、君はこの年齢で、イメージを持っていますか。 もちろんです。君たちのみんなが、イメージを持っています。 それらイメージが、傷つきます。 生涯を通してずっと、君は傷つくでしょう - 君が、それらイメージを持っているかぎりは、です。
55:45 学生: 先生、それらを忘れるべきでしょうか。

K: それらは放っておき、持たないでください。
55:50 誰かが - 多くの人々が - 私に、へつらってきました。 多くの人々が、私を侮辱してきました。 私は、何のイメージも持っていません。 私は傷つきえないのです。それは大事ではない。 理解できますか。

学生: はい。
56:07 K: そのようでありなさい。 それが、腐敗が始まるところです。
56:14 学生: 先生、でも、どうやって自分のイメージを、取り除くのですか。
56:19 K: どうやって、イメージを取り除くのですか。 君は、それらが危険であると見えるなら、即時にそれらを取り除くでしょう。
56:29 学生: 先生、もしイメージを取り除くなら、あなたには何が残っていますか。
56:32 K: 何もない!

学生: そのとき、あなたは何ですか。
56:36 K: お待ちなさい!私が言ったことを、聞きなさい。
56:40 何でもない!そのとき、君は生きるのです。 君は後で、理解するでしょう。
56:51 学生: 先生、彼らは、あなたのイメージを持つかもしれないが、私たちはイメージを持つべきではない。
56:55 K: そうです。他の人たちには、イメージを持たせましょう。君は、それらを持たないでください。
57:00 学生: 先生、時々、私たちはイメージを持ちません。
57:08 K: 「時々」ではない。 君は、真剣に話していますか。 または、理論的にですか。
57:18 学生: いいえ。仮に、或る人物が・・・

K: なぜ君は、仮に、と言うの?
57:24 学生: 或る人物がイメージを持たないなら、彼は、不安全に感じそうでないですか。
57:30 K: 不安全でいなさい!
57:35 自分が不安全であるのを、知りなさい。 そのとき、安全とは何かを、見出しなさい。 しかし、いつも、安全を探し求めているなら、 君は、自分が不安全であるかどうかを、知りません。 初めに、君が不安全なのか、それがどういう意味かを、君自身で見出しなさい - 物理的に、内的になど、です。
58:06 学生: 自分のイメージを持っていても、いなくても、不安全です。
58:14 K: イメージを持っていても、いなくても、君は不安全です。 私は君に訊ねています - 君は、自分が不安全なのかを、見出したことがありますか。 または、ただ話しているだけですか。
58:25 学生: 先生、私は、幾つかの物事について、不安全に感じます。
58:27 K: 待ちなさい。それがどういう意味か、安全であるとは、どういう意味かを、見出しなさい。 君は、物理的に不安全なのか - いいですね?または、経済的に、なのか。 または、世論の中で不安全なのか。 ですね? または、お金の事柄で、不安全なのか。 または、自分の関係において不安全なのか。 見出しなさい。
59:02 学生: すると、先生、何でしょう?
59:05 K: 君は、どこに不安全があるかを学ぶとき、安全です。 君、それを捉えなさい。
59:15 学生: 先生はイメージを持っていますか。

K: 私が言ったことを、聞きなさい。 捉えますか。 君は自分自身で、不安全とは何なのか、 どこで自分が不安全なのかを、見出すとき - 君の家族について、君のお父さんについて、君のお母さんについて、 君の妻や夫について、君の神について、です。 理解できますか。見出してください。 それについて学んでください。 不安全について大変多くを知り、学んだ瞬間、 そのとき君は、その外にいます。 そのとき、君は安全です。
59:57 学生: 先生、不安全について大変多くを学ぶとしても、 十分な不安全を知りません。
1:00:03 K: ああ、いいえ。知るでしょう。 君が正しく始めるなら- 理解できますか - そのとき、正しいことは、始まりにあるのです。 これは、あまりに困難です。
1:00:21 学生: 先生は、不安全が何かを見出すよう、それとともに生きなさい、と言われていますか。
1:00:25 K: 君は不安全です -不安全とともに生きるのではない。 君はちょうど今、「私は不安全です」と言いました。 それとともに生きなさい。見出しなさい。 見出すように、君の頭脳を使いなさい。 機械的にならないでください。
1:00:43 学生: 先生、不安全を取り除くためには、初めに、恐れを取り除かなくてはいけなくないですか。
1:00:47 K: 恐れ。いいですか? さて、私は君に示そうとしています。君は、学ばなくてはいけません - 私からではなく、学ぶ。 恐れとは何ですか。
1:01:04 学生: 恐れは、私たちがそれについて考えるものです。
1:01:10 学生: それについて知らない何か、です。
1:01:12 K: お待ちください。君は初めに、他の誰かに聞かないね。 君はいつも、すぐに自分の質問をできるね。 彼は言いました - 君は、彼が何を言ったのかを、知っていますか。 君は知らない。 君は聞かなかったからです。 なぜなら、君自身の質問のほうが、重要だったからです。それが利己性です。 ですね? 彼は、「恐れ - どうすれば恐れから自由になりうるのですか」と、言いました。 ですね?君は本気でそう言ったでしょう。 ですね?で、初めに、その問いを聞きましょう。 彼は言いました - 「恐れとは何ですか。どうすれば、それから自由になりうるのですか」と。 さて、君は、自分が恐れていることを、知っていますか。
1:02:11 学生: はい、先生。

K: 「はい、先生!」なぜです?
1:02:18 学生: それは、自分が何かについて考えるからであると、思います - 自分に恐れを感じさせる何かを、です。
1:02:23 K: さて、一分間待ってください。君は、何かものすごいことを、言いました。 君がそれに気づいたのかどうか、私は知りません。 君は、何かまさに真実なことを、言いました。
1:02:35 学生: そのとき、僕たちは、何かについて考えないなら・・・
1:02:38 K: それなんです。 君は、第一のことを学びました - すなわち、考えることが、恐れをもたらす、ということ、です。 ですね?ですね?

学生: はい、先生。
1:02:53 K: で、君は、恐れをどう止めるかではなく、考えるとは何かを、見出さなくてはいけません。 理解できますか。 君はちょうど今、よく気をつけて言いました - すなわち、 考えることが恐れをもたらす、と。 それは真実です。 私は明日死ぬかもしれない。 それで私は、怯えています。 私は職を失うかもしれない。 私は怯えています。ですね? で、考えることが、恐れをもたらします。 そのとき、考えるとは、何でしょうか。 今、見出すよう、一歩一歩進んでください。 考えるとは何でしょうか。
1:03:36 学生: 先生、それは、恐れを取り除くには、考えることを取り除かなくてはいけない、ということですか。
1:03:40 K: いいえ。私は、何をも取り除きなさい、とは一度も言っていません。それは、戻ってくるだろうからです。
1:03:45 学生: で、恐れが危険であることが見えます。 自分自身でぬぐい去ります。で・・・
1:03:48 K: ええ。いや、初めに気をつけて、聞いてください。 私は君へ言いました - 恐れは・・・彼は、何かについて考えるとき、 恐れが存在する、来ると言いました。ですね? 恐れ - 私は死ぬかもしれない。恐れ -私は職を失うかもしれない。お父さんへの恐れ。 先生方への恐れ。ですね? で、君が未来について考えているかぎり- ですね? - 恐れがあるのです。 ですね?今、君は、考えるとは何かを、見出さなくてはいけません。
1:04:30 学生: それは利己性なのかもしれません。

K: ええ。待って、待って。 私は君に何かを、訊ねています。 君、初めに聞いてください。 私は君を止めようとはしていません。 考えるとは、何ですか。 気をつけて。 君の頭脳を使いなさい。
1:04:47 学生: 頭脳は何をしますか。
1:04:50 K: いいえ、考えるとは何かを、見出すように、君の頭脳を使いなさい。
1:04:56 学生: 想像です、先生。

K: 想像。進んでください。
1:05:04 学生: 先生、見たものを記録します。 それについて考えます。
1:05:09 K: それは良い。君は始めていますね。 君は記録しているでしょう。 すなわち - ああ、神様! 君に示しましょう。 私たちの頭脳、頭蓋骨の内側にあるものは、記録しています。 君は、数学を記録しています。 君は、地理、歴史を記録しています。 君は記録してます。 (録画)テープは記録しています。 これは記録しています - あそこで、ね。 理解できますか。 私は話しています。電気的に、それはあの機器へ連結しています。 あれがテープに記録しています。 私たちの頭脳は、まさしくそのように作用します。 それは記録しています。ですね? 数学、歴史、地理、君のお父さん。 それは、君のお父さんを記録してきました。 ですね?さて、一分間、待ってください。 君のいう、記録するとは、どういう意味ですか。 考えぬいてください。君の頭脳を使いなさい。
1:06:21 学生: それは、もう一度、何かを思い起こします。
1:06:24 K: どういう意味ですか。記録する。

学生: 吸収します。
1:06:28 K: 記録することは、必要でないですか。

学生: はい。
1:06:32 K: なぜです?
1:06:35 学生: 先生、過去を未来とつなげるためです。
1:06:38 K: いえ。記録することは、必要でないですか。 年上の人々、年上の少年たちが、これらへ注意を払っていることを、願っています。 なぜなら、それは彼らの生であるからです。 で、君が手紙を書くとき、車を運転するとき、記録することが必要です。 ですね?君が試験に通らなくてはいけないとき - 不幸にも、ですが。 君が、どこかにお父さんと、お母さんを持っていることを、記録するとき、です。 そのすべてが、記録することです。 それは必要です。 さて、また別の記録することも、あります。 私は傷つく - 捉えますか。

学生: はい、先生。
1:07:36 K: 二種類の記録することが、あります- 車を運転する、手紙を書く、 インド行政官になる、エンジニアになる記録 気をつけて聞いてください。 君は付いてきていますか。 また、もう一つの学ぶことがあります- 私が先だ、私は利己的だ、 私はこれが欲しい、私は成功が欲しい、と。 ですね? で、これら二つが、いつの時も記録しています。 すなわち、記憶するのは、記憶でしょう。 君のお父さんの記憶、君の数学の記憶。 ですね?それで、記録するとは、記憶を意味しています。すなわち、反復することです。 これは分かりますか。 君は数学を学ぶとき、記録しています。 反復しています。 あの(録画)テープのように、記憶しています。 ですね?それで、君は機械的になります。 あの(録画)テープが機械的であるように、それは反復し、反復し、反復します。 私はバラモンだ、私はバラモンだ、私はバラモンだ。 私はヒンドゥーだ、私はヒンドゥーだ。 私は共産主義者に反対だ。反対だ。 ですね? などです。そのとき、私たちの頭脳は条件づけられ、制限され、小さくなります。 ですね?で、考えることは、記憶の一部です。 君は、お父さんに会ったことがないなら、記憶を持てません - 君が、お父さん、お母さんを見たことがないなら、です。 で、君は、お父さんとお母さんを見たことがあります。 それが、記憶として頭脳に蓄えられます。 またそれは知識です。 知識は、経験に基づいています。もちろんです。
1:09:59 学生: 私は記憶しています。

K: 君は記憶です。 理解できますか。 君は記憶です。 君の存在全体が、記憶です。 自分はアートマンであるとの記憶、 自分は魂を持っているとの記憶、自分の内側に光があるとの記憶、 神がいるとの記憶。 それはすべて、やはり記憶です。 君は、気をつけて聞き、見出しなさい - 語り手が言っていることは、真実なのか、 または、嘘なのかを、です。 理解できますか。見出しなさい。 君は記憶です。記憶なしには、君は何でもありません。 君の名前の記憶、君の家族の記憶、 数学の記憶、あの丘を登った記憶、 君の友だちの記憶、 ですね?で、君は記憶です。 記憶は、何か死んだもの、去ったものです。
1:11:10 学生: そのとき、僕たちはどのように生きていますか。
1:11:13 K: なぜなら、器官、君は食べ物をとるし、空気、水をとるからです。
1:11:19 学生: そのとき、僕たちはどうやって・・・
1:11:22 K: 見出してください。 それが大きな点なのです。 理解できますか。 何が真理なのかを、見出してください。 記憶は真理ではありません。
1:11:37 学生: 先生、あなたのいわれる真理とは、どういう意味ですか。
1:11:41 K: それは叙述できません。 花とは何でしょうか。 あの花は、何でしょうか。 見つめてごらん。 君は、あの花を見つめているとき、それは何なのか、それがどのように咲いたのか、 それの美しさを、けっして訊ねません。 どうか、何かを学んでください。 美しさは真理です。 理解できますか。 美しさは真理です。 善い生の美しさ - 善い生です。 成功した生ではありません。 さて、みなさん、11時まで10分です。 一分間、静かに座るでしょうか。 静かに座りましょう。 よろしい。ありがとうございます。